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PMP:「アジャイル・プロジェクトマネジメント」の書評

 


アジャイルという言葉が2000年代前半から出てからもう10数年経ちますが、なかなかウォーターフォールにとって代わる存在にはならず、相も変わらず旧来式のプロジェクトの進め方が多い中で、着実に存在感は増しており、一定領域においては定着したといってもよいかと思います。ただ、これは業界やプロダクト特性によるものが大きいと思います。ERPタイプの大型プロジェクトなどではなかなか適用しづらく、クラウドアプリやWeb開発などのほうが適しているというイメージがあります。
が、オーストラリアに来て、求人などもAgileの募集は結構たくさん出ていることやウォーターフォールとアジャイルの中間のプロジェクトを経験したことから、改めてアジャイルについて勉強しなおそうと思い、この本を選んでみました。


 



アジャイルについて

ウォーターフォール型プロジェクトは、計画フェーズから要件定義を行い、開発・テスト・リリースと、順番に進めていくことを前提にしており、変更が発生すると変更をマネジメントする必要があり、場合によっては手戻りすることもあるため、基本的に「変更をいかに少なくするか」がポイントになります。
一方で、アジャイル(ここでは代表的なスクラムについて言及していきます)は、逆に「変更はプロジェクトにつきもので、積極的に取り入れる」姿勢をとっています。スプリントと呼ばれる短期間(1-4週間)の開発期間にて、ショートタームで機能開発をして実装していきます。開発チームはスクラムチームと呼ばれ、プロダクトオーナースクラムマスターがいます。プロダクトオーナーは、ビジネス要求事項をプロダクトバックログとして作成し優先順位付けします。また、その成果物の受入基準も作成します。一方、スクラムマスターはスクラムチームのための最適な環境を用意し、チームを導きます。

そしてもう1つアジャイル(スクラム)で出てくるキーワードとして、エピック・ユーザーストーリーというものがあります。エピックとは、成果物の要求や機能をユーザー視点で記述したもので、このレベルでは抽象的でも構いません。これをユーザーストーリーへと分解しますが、この時点で工数見積もりが可能なように具体化していきます。最終的にはタスクリストと分解し、各スプリントの中でタスクを実行していくという形になります。

プロジェクトのフェーズとは、各スプリントの前後に立上げとリリースが存在します。1スプリント内に計画・実行・レビュー/振り返りがあります。レビュー/振り返り時に、機能リリースのためのデモを実施し、ユーザー受入基準に達しているかどうかをチェックします。そうして、複数スプリントで次々に機能を実装していく、という形になります。



本書の感想

本書の感想としてのポイントは3つです。
a. 慣れないと用語はわかりにくいが、アジャイル導入物語はわかりやすい
b. 1/3ぐらいは通常のプロジェクトマネジメント(PMBOK)と同様
c. 既にウォーターフォールを理解している人は違いだけを習得していけばOK



慣れないと用語はわかりにくいが、アジャイル導入物語はわかりやすい

普段ウォーターフォール型に慣れている人でも、プロジェクト経験の中で、アジャイル的な手法に遭遇する場面もあるでしょう。そのため、大まかな流れはそれなりに理解できると思いますが、6つのプリンシパル・5つの観点・5つのプロセス群(19プロセス)などの全体像の把握、それぞれの相関関係、レトロスペクティブ(振り返り)・スプリント会議・イテレーション(反復開発)などの用語、などが最初は少し難しいかもしれません。何度か繰り返し読むと段々と全体像が頭に入ってくるかと思います。

一方で、これらを物語風に落とし込んだ各章末の「アジャイル導入物語」は、普段ウォーターフォール型プロジェクトしかやっていなかった主人公が、実際にアジャイルプロジェクトをやってみるという手順が書かれており、アジャイルをこれから開始する人には参考になるかと思います。もちろん物語風に書かれているため多少デフォルメしていますが、進めるにあたって引っかかりそうなポイントやあれこれって?と思うところで、主人公が悩む場面も記述されており、実際にありそうな体で記述されおり、理解しやすいです。

1/3ぐらいは通常のプロジェクトマネジメント(PMBOK)と同様

一方で、標準のPMBOK・ウォーターフォールと共通的な事項も多々出てきます。EVA、リスクマネジメント、タックマンモデル(PJの変遷)・マズローの欲求五段階・マクレガーのXY理論、などなどです。この辺はどんなプロジェクト手法に限らず、肝要な事象・普遍的な事項ということなのでしょう。

既にウォーターフォールを理解している人は違いだけを習得していけばOK

上記を踏まえると、既に既知の部分は飛ばしていくことができます。そのため、純粋にウォーターフォールとアジャイルの違いに特化して、読み進むことが可能です。本書は、アジャイルで進める場合の全方位的に記述されているため、前述したようなウォーターフォールでも出てくるようなことも出てきます。

純粋に「アジャイルの進め方」を読み解いていくと、最初の1項で記述したように、どうプロダクトバックログを作っていくか、どう優先順位をつけていくか、どれぐらいのスパンでやっていくか、などが計画時点で重要そうです。後はプロジェクトの規模によって、スクラムチームが少ないか多いかなどで、プロジェクトマネジメントのポイントも変わってきそうです。



まとめ

ウォーターフォール型プロジェクトを長らくやっていると、ある程度型みたいなものを理解しているため、通常のプロジェクトマネジメントの本は読み進めていても、大抵大半は理解できます。ただ、アジャイルはやはりウォーターフォールと違うので、用語や型から覚えないといけないという点で、初めは勉強している感が満載でした。
何度かポイントだけ読み直していると、大分頭に入ってきました。本書は導入編として、「アジャイルがどういうものか」、「アジャイルの一般的な進め方を教科書的に知りたい」という人にはお勧めかと思います。ただ、どちらかというと教科書的な本なので、いくつかの企業での実際のケースや、より具体的な成功ポイント・教訓などを知りたい方には不向きですし、ある程度アジャイルを経験した人には入り口過ぎてつまらないと思うでしょう。
後はこれをどう実践に落とし込むかというのがポイントになってくるかと思います。それには、最初に記述したように、合うプロジェクト・合わないプロジェクトというものが存在するものと思われますので、それをイメージしながら、実際に合う方にテーラリングしながら適用するのがよいと思われます。



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