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オーストラリアの多国籍社会が21世紀の日本のロールモデルになる!

オーストラリアで暮らすようになり、オーストラリアの社会がどうなっているかを肌で感じるようになってくると、色々見えてくるものがあります。日本の中にいるとそれまで当たり前と思っていたことが海外では普通に違ったりするので、やはり視野やアンテナを広く持っておくことは重要です。日本では日本の考えの制約の中で考えていてがんじがらめになってなかなか動けない・変わらない部分が多いですが、それを覆すには海外での事例をもっと参照すべきではないかと思うのです。他の国までは調べてないですが、日本がオーストラリアを参考にすべき点は主に以下の5つだと思います。

 

 

地方分権

オーストラリアは州制度で、州の力がかなり強いです。州政府というものがあり、そのうえに連邦政府があります。元々は別々の各植民地だったのを統合したという背景があるからで、過去には何度か州境も変更されています。元々独立していたものが統合したからか、大きな枠組みは国単位で統一されていますが、例えば州によって祝日が異なったり、ビザでも州サポートなどのケースは州によって必要要件が異なります。また、公立の学校のルール(例えば、何歳何ヶ月までがYearxxになるという年齢条件 等)も違いますし、大学受験のための枠組みなども州ごとのテストで判別されます。Opal、Mykiといった公共交通機関も統一されおらず、州ごとになっています。

数年前(大体4-5年前ぐらい?)には日本で道州制というキーワードが流行っていました。もちろん今でも地方分権はキーワードの1つですが、今よりより国と都市の中間のレイヤーでの管理体系について具体的な案(区分け)がなされていたと思います。その頃だったと思いますが、GWを分散開催しようという案もあったと思います。ただ、州によって祝日が異なるとレジャーにはメリットはあるが、働く人たちや会社にとってはデメリットが多いのでは、と実現には至りませんでした。これ、オーストラリアでは実現できています。その州にしか存在しない祝日もあるし(メルボルンカップデーとか)、共通の祝日が州によって異なるケースもあります(レーバーデーやクイーンズバースデー等)。でも、全く困っていません。なので、やりようによってはいくらでも実現できるのではと思います。


移民/多様性

日本は長く島国としてほぼ単一民族/単一国家でやってきました。そのため転換が難しいのは承知ですが、これだけグローバリゼーションが広まった世界になると移民や多民族というのを考えていかないといけません。ご存知のように既に日本でも移民制度について色々議論はなされています。が、なかなか受け入れにくいという背景もあり、限定的だったり、制度として進まないというのが現状です。

オーストラリア、NZ、カナダ、アメリカ、イギリス、これらの国は移民を国家の枠組みの前提として制度的に組み込んでいます。オーストラリアやNZでいうと、スキルがある外国人を自国に受け入れるためのビザを制定し、ポイントに応じて永住権が取得できるようになっています(日本にも同様の仕組みはあるのですが、これら英語圏の枠組みに比べるとはるかに難易度が高いです)。

70年代、80年代までは白豪主義と呼ばれ、オーストラリアも白人中心の社会でしたが、徐々にマルチカルチャーを目指す政策に舵が切られ、現在は多民族国家であることがオーストラリアの特徴であるといえます。東アジア(日本、中国、韓国、香港、台湾)、東南アジア(ベトナム、タイ、インドネシア)、インド系(インド、パキスタン、スリランカ)、東南ヨーロッパ(ハンガリー、ポーランド、イタリア、ギリシャ、トルコ、キプロス)、中東、アフリカなどがバックグラウンドの人たちが多く集まり、多様な社会を作り出しています。学校に行けば、オージーだけでなく、例えば台湾・ベトナム・ヨーロッパ・インド系の友達ができ、街中でも人種や肌の色など様々で基本的にみんな気にしません。英語だってネイティブじゃない人も圧倒的に多いので、発音や話し方など様々です。でもそれが多様性を生み出し、イノベーションを生み出し、国家・社会・企業・個人が成長する源泉になっているのです。こうしてグローバリゼーションを肌で感じて成長していった子どもたちは自然とそういう21世紀の考え方が身に付くのではないかと思いますし、よりグローバルな考え方が出来ると思います。


働き方

オーストラリアでは定時は一般的に5:30PMで、基本何もなければ定時で帰ります。残業する場合は上司の承認が必要で、スタッフ個人がしようと思っても上司が許可しなければ帰れといわれます。なぜなら残業代が発生し、通常時の1.25倍など余計なコストがかかるからです。また土日祝日なども通常時の1.5倍などコストが増えるため、週末に仕事をするなどもよっぽどのことがない限り発生しません。ただ、これは日本も一緒ですよね?何が違うのでしょうか。

それは仕事に対する位置づけ・捉え方だと思います。日本は仕事が第1優先とされ(意識的でも意識していなくても)、家庭や個人のプライベートなどはその次とされています。個人的な都合で会社を休むと非難されるなどはその典型だと思います。ところが、オーストラリアでは家庭や個人の生活と仕事は対等で、自分の人生の1つのパーツであるぐらいの考え方です。そのため、何かプライベートで大事なことがあればそれを優先して仕事は休みます。プライベートのほうが大事だからです。でも、それで非難する人はいません。みんなそうだからであり、それが社会での共通認識になっているからです。

なかなか社会の共通認識となっていることを変えていくのは大変ですが、日本でもクールビズや週休二日制など社会全体で切り替えていったことは色々あると思います(昔は土曜も学校や会社があり、夏でもネクタイを締めていたものです!)。なので、意識を変えるというのが実は一番難しいのですが、小手先で祝日を増やすのではなく、有休を取りやすくしたり、休むことや仕事以外を大事にすることを定着化していくのが重要だと思います。


経済成長

日本は長くデフレが続いています。バブルが弾けた後、失われた10年が失われた20年になり、その間色々なデフレ対策がうたれていますが、なかなか効果的とはいえない状況です。一方、オーストラリアはここ25年経済のマイナス成長はありません。マイニングブームが起こり、その後中国マネーなども引き寄せ、住宅価格は上昇を続けています。年平均1-2%物価は上昇しますが、それにあわせて給料も物価があがった分は上がって生きます。80-90年代日本がバブルだった頃は、オーストラリアは物価が安いというイメージだったと思いますが、2010年代後半の現在、完全に逆転している状況です。オーストラリアが成長を続けている要因はいくつかあると思いますが、海外からの投資を呼び込んでいることも大きいと思います。移民政策と同様に、投資家ビザなどで自国のファンドに投資してもらいその代わりビザを発行したり、また中国などとの結びつきを強め、オーストラリア市場に投資してもらっています。

そういう意味では日本も何とか海外からの投資を増やしていくべきだと思います。法人税の減税などトライしている部分もありますが、諸外国に比べてまだまだ道半ばというところでしょうか。日本は企業は投資をしているが、なかなか市場規模はこれ以上伸びず、物価は据え置き(もしくはデフレで一部安くなる)、給料も変わらず、ということで経済が伸び悩んでおり、突破口が見出せない状況が長く続いてしまっています。企業が投資をし、市場が成長し、物価があがるが、同時に給料などもあがり、という形で良い意味での経済スパイラルが続いているのがオーストラリアの現状です。


政治の多様性

最後は少しセンシティブですが、政治の話になります。オーストラリアはアメリカやイギリス同様二大政党が中心になっています(最近はその他の少数政党もいますが)。リベラル(自由党)とレイバー(労働党)です。 ほぼこの2党で順番に政権交代が行われています。リベラルが色々投資をし、財政的に厳しくなると、レイバーが引き締めをする、そうなると、成長が鈍化し、リベラルが規制緩和や市場を開放し経済成長を図る、その後行き過ぎるとレイバーが労働組合などを保護するなど、やじろべえのように行ったり来たりしています。最近は緑の党やワンネイションのような存在も出てきてはいますが、まだ規模からすると二大政党の枠組みは変わらないでしょう。

一方、日本では長く自民党政権が続いた後、細川政権で一度55年体制が崩れましたが、その後はまた自民党に戻り、二大政党時代かと思われた民主党政権も続かず、今は自民党政権が安定しています。なかなか自民党に対抗する野党の受け皿がなく、離合集散を繰り返し、民進党と名前を変えてもまた勢力が弱まる危機にあります。どうしても数で足りないため、複数の野党が合併し、最大野党を作りますが、新進党、民主党、民進党と、主義主張が違う人たちが一緒になっているため、政策軸で明確に与党の対抗馬となっていない状況です。リベラルとレイバーも似た政策もあったりしますが、やはり根底として開放・改革路線か労働者の権利を守るかという意味で明確な対立軸があります。なので、難しいですが、なんとかいくつかの政策軸をベースに国民が選ぶという風になっていってほしいと思います。


こうしてみていくと、日本が課題として現在悩みトライしている部分はにおいて、モデルとすべきいくつものポイントを既にオーストラリアが兼ね備えているのがわかっていただけるかと思います。もちろんオーストラリアにも負の側面はいくつかあり、例えば中国に寄り添いすぎて批判を招いたり、人種差別も一部あったり、住宅市場はバブルでこのあと弾けるのではという危険、また最近はテロの脅威もあります。なので、日本のほうが優れている・良い部分もたくさんあるのですが、なかなか議論ばかりが先行し、実態として変わらない日本を見ると、もっとこういう身近に実現できている例を見て、変えていってもらえればと思って仕方がありません。21世紀になりグローバリゼーションが定着化した現代、EUやシンガポールを見ても、多様性を持った新しい国家像というのが必要になってくると思いますので、日本も次の時代へ向けて大きな舵を切ってほしいと思います。



おまけ

上記の5つの大項目とあわせて、ピンポイントですが、いくつか他にも参考にしたほうがよいのでは?というポイントを追記したいと思います。

サマータイム(Day Light Saving)

先日2020年東京オリンピックにあわせて、サマータイムを導入したら?という議論がありましたが、それには反対です。但し、もっと長い目でみたら、必ずしもデメリットばかりではありません。

サマータイムとは、夏の日が長い時期に1時間早めることで、夕方以降遅い時間でも日が出ているため、全体での省エネが図れ、また余暇やアクティビティなどに使う時間も増える、というものです。オーストラリアやNZでは、サマータイムは「Day Light Saving」と呼びます。例えば2017年の例でいうと、10月1日のAM2時に自動的に1時間進み、3時の扱いになります。逆に、終わるのは2018年4月2日のAM3時に2時に戻ります。

メリットとしては、やはり夜遅い時間でも十分明るいことです。夜7時は実施的には6時なので、まだまだ明るいですし、8時でも普段なら7時です。個人世帯レベルでいうと当然電気代の節約にもなります。

オーストラリアの面白いところは、州によってDLSを採用しているところとしていないところがあることです。NSW,VIC,ACT,SA,TASは採用しており、QLD,WA,NTは採用していません。州の数でみると倍ぐらい採用しているところが多いのですが、国土面積でいうと使っていないところの半分程度になってしまいます。そして、なんと言っても州で採用している・していないがあっても、全く困っていないのがオーストラリアらしいと思います。
※もちろんオーストラリアは3つのタイムゾーンがあり、普段から国内に時差があるため、単一のタイムゾーンの日本とは事情が違うというのはあります。

選挙不参加時の罰金制度

次に紹介したいのは、選挙制度です。オーストラリアでは、選挙での投票は義務になっており、投票しない場合には罰金が科せられます。そのため、内容的に盛り上がらない選挙でも、毎回投票率は高いです。

これなんかは制度の工夫だけですので、十分日本でもできる話だと思います。すごく高額ではないが、払うにはもったいない。そんな金額が設定されているだけですので、ぜひ日本でも取り入れてみてはどうかと思います。

オンライン化

おまけの最後はIT化の話です。オーストラリアでは、日本に比べて、IT化・オンライン化が進んでいます。日本からすると、えっ そんなのまでオンラインでできるの?というものまでIT化されています。
例えば、ビザ申請など移民局の手続き、社会保障関連(CenterLinkという厚労省相当での手当て申請、受給状況チェック)、銀行(アプリで全て実施可能)、学校関連(欠席届け、成績表、出席状況等)、学校入学手続きのアプリケーション、学校での先生との面談スケジュール調整、就職の応募、レジュメ管理、TV番組のアプリ/オンラインでの視聴、等々。

日本では民間に比べて官公庁や文教は手続きが面倒、セキュリティを気にしすぎて使い勝手が悪い、というのが一般的ですが、こちらでは民間同等のサービスレベルを誇っています。こちらではABCはiVIEWで見れるし、SBSもオンラインでワールドカップ放送していましたし、最近はFVというアプリで現在テレビで流れているのがほぼそのまま視聴可能です。また、セカンダリースクールではポータルにログインすると、子どもの成績や授業の出席状況や先生からのnoticeなどが見れたりします。

もちろん紙の成績表は味わい深いですし、手書きで先生がコメント書いたりするところに先生の愛情が見えたりします。しかしただでさえ、教員数は不足しており、時間が足りない・忙しすぎるというのが教育現場での課題になっているのだとすれば、ITを使ってどんどん効率化を図っていくべきだと思います。

みんなが欲しいな、あったら便利だな、と思うものがIT化されている、簡単にアクセスできるというのがオーストラリアの現状です。この「簡単に」というのが非常に重要で、日本の場合はオンラインが用意されていてもそこにたどりついてサービスを利用するまでにすごく面倒だったり時間がかかったりします。例えば事前に紙で申込をしないと使えないようになっているとか、申込までが複雑すぎてあきらめてしまったりとか。「当たり前のことを、簡単に当たり前にできる」 ということが、日本がもっと良くなるためのステップだと思います。もっとシンプルに、「あー、これがあれば便利なのに」とか、「とりあえずやってみましょう」という気概が出てくれば、もっともっと改善できるのではないかと思います。



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