傭兵部隊とドクターX

皆さんはドクターXという日本のドラマをご存じだろうか?米倉涼子がスーパー外科医を務め、ダメダメな既存病院勢力を助けていく話である。

この中で、病院メンバーは典型的な悪・抵抗勢力・できない人たちとして描かれる。こんなやり方はやったことがない、リスクがある、失敗したらどうするのか?誰が責任を取るのか?などなど。

しかし、ドクターXは、救うにはこの方法しかない、失敗しない、私はできるとズバズバと進めていき、患者を救うのである。



ドラマとしては面白い。見ているほうは爽快感を覚え、ドクターXに肩入れするだろう。僕も・私も、こんな風に言ってみたい・してみたい、と。

一方で、私はITコンサルもやっているので、コンサルタントの立場から見ると、よくある、「あるある」の構造も見えてくる。



それは、組織が弱いと自分たちのリソースではやりきれないので、外部のサポートを必要とする。しかし、外部に頼りすぎると、そのリソースがいないと何もできなくなる。

つまり、インソースかアウトソースかというソーシング戦略である。これはITの現場ではよくあるトピックで、開発リソースを内部で持つか、ITベンダーに頼むか、などもこの手の話である。

つまり、軍隊でいうと、自軍を育てるのではなく、傭兵部隊のような戦いのスペシャリストを大量に雇うのである。

ドクターXの場合は、チームでなく一人だが、まさにこの傭兵・スペシャリストといえるだろう。



先日、あるクライアントと話をした時も、自社でどうリソースを育てるかを悩んでいた。その時の議論にもなったが、「組織を育てる支援をする」か?、「できない部分を穴埋めする」か? であった。後者はまさに傭兵部隊として動くということだ。

短期的には足りないリソースを外部からあてがうほうが早い。また、中期的にみても、そこのリソースを育てることが、自社の戦略に当てはまらない場合は、そのままアウトソーシングで外部リソースを使ったほうが良い。

ただ、そこが自社のコアにリンクし、中期的な戦略としてインソースするほうが良いのであれば、どう育てるか(もしくは採用などして獲得していくか)に対して、腰を据えて取り組んでいくしかない。



ドクターXに話を戻すと、あくまでドラマなので、病院の人たちは一方的な悪として描かれる。そして、米倉涼子は「私は外科医の仕事しかしない。余計な書類仕事や調整作業などはしない」と言い切る。ドラマではこれでよいだろう。

しかし、現実の世界で見たときには、物事を成功させるためには、事前調整やすり合わせ、何かを進めるための書類作業などは、避けては通れないものである。例えば、プロジェクトを始めるための決裁作業も、長期的にはそれは変えたほうが良いプロセスだったとしても、目の前でプロジェクトを始めるためにはやらざるを得ず、そこで文句を言っているよりは、早く役員の合意を取って、サインをもらったほうがよっぽど物事は進むのである。

そして、コンサルタントとしては、結果を出す必要があるので、必要なプロセスであればやらざるを得ないのである。



そして、外から来る人はいつも異文化である。”中”の人たちとは、考え方・ベース・文化・習慣が違う。同じ組織・同じ枠組みでずっと長年続けると、その範囲でしかアイデアは出ないし、考え方は固定化される。積極的に異文化と交流していくべきである。

社内のリソースを育てたい時は外に目を向け、外のリソース・考えを積極的に取り組んでいき、自分化することが大事である。
明治の日本も積極的に西洋文化を取り入れ、いつのまにか、日本独自の西洋料理や西洋的なものを生み出していった。まさにその精神である。



まとめると、
1)アウトソースかインソースかのソーシング戦略。傭兵に頼るべきか?
  どこが自分たちのコアプロセスかによる
2)無駄な作業は確かに存在するが、変えていくには時間がかかり、
  処理してしまったほうが、最終的なアウトプットが増えることもある
3)考え方が違う人たちと交わることで、新しい価値が創造される。
  育つには、異文化を取り込むことが必要

ということである。

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